(第36号) 2005年7月6日
政策調査情報 連合北海道 政策道民運動局
■政策調査情報の内容;郵政民営化法案の衆議院可決に関する連合他の談話・声明
郵政民営化法案の衆議院通過に関する談話
連合 事務局長 草野忠義
1.本日、衆議院本会議において郵政民営化関連法案の採決が行われ、反対228票、賛成233票の賛成多数で法案は可決され、参議院に送付された。賛成多数とはいえ、5票の僅差、しかも自民党からも37名にのぼる反対票が投じられたことで、今回の郵政民営化法案がいかに問題の多いものであるかを改めて浮き彫りにした。このような法案を提出した小泉首相の責任は重大である。
2.衆議院で法案が否決されなかったことは残念であるが、法案に反対の意志を持ちながら採決を欠席・退席した議員が14名にものぼったことを考えれば、この法案は事実上否決されたに等しい。小泉内閣はこの結果を重く受け止め、即刻法案を撤回すべきである。
3.この間の法案審議において、民営化による郵政事業のビジネスモデルの持続可能性、国民に提供されるサービス水準、国の金融政策に重大な影響を与える巨額の郵政資金の行方、郵政事業に働く者の雇用・労働条件のあり方など、国民が抱いている疑問・不安に対して、小泉内閣は誠実な答えを示していない。そもそも、小泉内閣の郵政民営化法案の提出行為は、「民営化は行わない」とした中央省庁等改革基本法に違反し、さらに、誠実な法律執行を求める憲法にも抵触する。この点について、郵政事業の利用者、そして郵政事業に働く者から訴訟が提起されており、連合会長も、働く者・利用者の立場から原告となっている。小泉内閣は、このことも十分斟酌すべきである。
4.小泉首相は、当初「法案を修正するなら衆議院を解散する」としていたにもかかわらず、一転して与党の修正案に同意した。しかし、この修正によって民営化の姿は大きく変質し、国民や既存の民間企業に多大
な迷惑を及ぼす恐れだけが増す結果となった。
5.連合は、もはや「理念なき民営化のための民営化」となった小泉郵政民営化ではなく、真に国民のためになる郵政改革プログラムの再構築を改めて求める。そして、参議院において、民主党、社民党などと連携し、違憲・違法で問題だらけの郵政民営化法案を廃案に追い込んでいく。
以上
郵政民営化法案の衆議院通過にあたって【談話】
民主党政策調査会長 仙谷由人
1.本日、郵政民営化法案が衆議院本会議で可決された。しかしながら、自民党内からは多くの反対、欠席が出ており、賛成票は議席数の半数に満たなかった。郵政民営化法案は、事実上否決されたと受け止めるべきである。
2.小泉総理や竹中郵政民営化担当大臣は、なぜいま郵政民営化なのかという疑問に正面から答えることもなく、ひたすら我田引水の議論に終始するだけであった。政府案が成立すれば、民業圧迫が必至であり、とりわけ地方経済には深刻な悪影響が及ぶおそれが大きい。まさに、国民にとって百害あって一利なしである。
3.衆議院の審議においては、政策面で数多くの疑問点が明らかになったが、政治手法としても二つの重大な問題が残った。一つは、小泉総理が修正を前提とした法案を提出しておきながら、「修正は考えていない」と強弁し続けたことである。まさに国民に対する騙し討ちというほかない。
4.もう一つは、郵政民営化を正当化する世論操作のため、1億5,000万円もの税金を注ぎ込んで政府広報を強行したことである。しかも、この政府広報は違法な随意契約でなされたばかりか、受注先は竹中大臣周辺の口利きで決まったという疑惑を持たれている。さらには、この政府広報の企画書には、「IQの低い主婦・シルバー層」をターゲットにすることが明記されており、人権意識の欠如した極めて不適切なものであった。
5.審議の舞台は参議院に移るが、民主党は引き続き廃案をめざして論戦に臨む。また、欠陥だらけの郵政民営化法案を、掟破りとも言える手法で無理やり通そうとする小泉内閣を退陣に追い込むべく、徹底的に戦う所存である。
以上
郵政民営化法案の衆院通過にあたって(声明)
郵政事業に関する労組政策協議会
1,衆議院は本日(5日)午後の本会議で、郵政民営化関連法案を一部修正のうえ可決し、参議院へ送付した。私たちは、この間一貫して「なぜ、今、民営化なのか」「何のための民営化なのか」を政府が責任を持って国民に明らかにするよう求めてきたが、国会審議では残念ながら無味乾燥な政府答弁と強引な国会運営に終始し、何ら理解、納得できるような説明は行われなかった。利用者一人ひとりの生活に直結し、将来の「国のかたち」をも左右する郵政事業のあり方が、このような空疎な審議で決められようとされていることに対し、強い怒りを覚えるものである。
2,郵政事業は130年余にわたり、地域に根ざした公共事業として親しまれ、国民生活と産業社会の発展に大きく寄与してきた。そして2003年4月には、今後とも公的サービス機関としての役割を担いつつ、社会経済の環境変化に適切に対応していくため「国営の新たな公社」(郵政公社)へと移行した。現在、その公社の盤石な経営基盤確立に向け懸命な努力が行われているにもかかわらず、今回の法案審議では、何の客観的根拠もない「公社じり貧論」や「民営化バラ色論」が飛びかい、また、利用者ニーズや国民意識とはかけ離れたところで郵便局ネットワークの解体と約340兆円の国民的資産の売却が行われようとしている。各種世論調査では、国民の多くは民営化法案に疑念を持ち、あるいは慎重審議を求めていた。本日の衆院採決の結果は、「小泉首相による小泉首相のための郵政民営化」の証明に他ならない。
3,私たちは、一方で法案採決にあたり民主党をはじめとする野党議員に加えて、自民党からも政府及び党執行部の政治的圧力にも屈せず、政治家としての理念と良心に従って反対票を投じた議員が数多くいたことに敬意を表するものである。法案否決には至らなかったが、こうした勇気ある議員行動が日本の民主政治を支えるとともに、郵政民営化法案の問題点を正しく国民に伝え、次の参議院における法案審議の充実に反映されるものと確信する。
4,郵政民営化法案に関する論戦は、今後、参議院に舞台を移して行われる。私たちはこれまで主張してきた<1>郵政3事業の一体経営の確保、<2>全国ネットワークによるユニバーサルサービスの提供、<3>公社による経営改革の推進、の立場を堅持し、より広範な利用者・市民、そして考えを同じくする政党及び議員と協力しながら、参議院における法案の否決・廃案を目指して最後まで闘っていくものである。
●今後の主な政治日程
(7月6日)
主要国首脳会議(英グレンイーグルス、8 日まで)
(7月中旬)
参院で郵政民営化法案審議入り
(8月上旬)
郵政法案、参院本会議で採決?
(8月13日)
通常国会会期末
(9月14日)
国連首脳会議(米ニューヨーク、16日まで)
(9月30日)
自民党役員任期切れ
(10月23日)
衆院宮城1区補選
(11月15日)
自民党結党50周年。憲法改正草案発表
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